<婚姻の証しとは> 現在日本では、同性カップルの婚姻を認めていません。 海外では、アメリカの一部の州、カナダ、スペイン、オランダなどで、同性カップルの婚姻が認められ、婚姻によらない「パートナーシップ制度」があります。いわゆるDP法(ドメスティック・パートナー法)です。 日本では、同性カップルの婚姻届を受理さえしてもらえません。 そこで、お互いに生涯の伴侶として共に生活を営んでいこうと意思を固めた方々のために、「婚姻の証し」・「準婚姻生活の契約」の書面を作成いたします。 「婚姻の証し」は、いわゆる「婚姻届」のようなもので、お二人の婚姻の意思を証明するものです。 役所には提出できませんが、お二人の署名捺印、生年月日、本籍、父母の氏名等を記載していただき、証人になっていただける方がいらっしゃれば、その方の署名も記載します。 最後にお二人の意思を確認させていただいたことを証する「婚姻の証し」に、当職が署名押印いたします。 ご注意いただきたいのは、「婚姻の証し」はあくまでお二人の婚姻の意思を証した書面であり、第三者に対して、二人はこういう関係なんだと相手を説得する力になるかもしれませんが、相手をこの書面によってある物事に従わせる強制力はありません。 お二人が生涯の伴侶としてこれから共に生きていくんだという証しを大切に保管していただければと思います。 ただ、お二人の関係を説明(カミングアウト)するときには役立つかもしれません。 <準婚姻生活の契約とは> 「婚姻の証し」により、お二人の婚姻の意思が書面になりました。これから準婚姻生活のスタートです。 すでにある程度の約束事を定めて共同生活をされている方々もおられるかと思いますが、「婚姻の証し」に添付する形で「準婚姻生活」の契約書を作成いたします。 ≪契約の内容≫ ・住居に関する事項 ・家事の分担に関する事項 ・財産に関する事項 ・療養看護に関する事項 ・契約解除に関する事項 ・その他 この「準婚姻生活の契約書」は、あくまでお二人の間のものでしかないことをご理解ください。 準婚姻生活を始める上で最低限の約束事をお二人で定めて、末永く生活を共にしていただければ幸いです。 お二人の決めておきたい約束事を書面にいたします。
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<遺言とは> 遺言とは遺言者の生前の最終的な意思表示です。 万が一、自分にもしものことがあった場合に自分の大切な財産を誰にどれくらい分配するかを自由に決めることができます。 遺言がない場合は、法定相続により遺産分割することになります。 そこで、同性パートナーと準婚姻生活を共にし、二人で築いた財産をパートナーに承継させるために、遺言書を残しておくことが必要です。 お互いにパートナーに対して、下記の内容で遺言書を作成します。 ・すべての財産をパートナーに包括遺贈する。 ・葬儀や祭祀承継に関する事項。(葬儀の時の喪主やお骨・お墓の責任者の指定) ・遺言執行者にパートナーを指定する。(当該遺言を執行する者の指定) ≪留意点≫ 法的に有効な遺言書が残されていても、「遺留分」の減殺請求権を持つ相続人がいます。
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<養子縁組とは> 養子縁組とは血縁関係がない者や親子関係がない者の間に、法律上親子関係を 創設することです。 養子縁組をして養子になっても実の親との親族関係が終了しません。 ・法律婚はできなくても、入籍したい。 ・同じ氏(姓)を名乗りたい。 ・一方に収入がないため扶養親族にしたい。 ・一方が死亡した場合、財産を相手に残したい。 ・生命保険の死亡保険金の受取人に相手を指定したい。 法律上の親子になるわけですから、上記のような悩みが解決します。 ≪養子縁組の仕方≫ 1.住所地の市区町村役場から養子縁組届の用紙を取得します。(サイトからダウンロード可) 2.養子縁組届に必要事項を記載します。(成人に達した証人二人から署名押印をもらいます。) 3.住所地の市区町村役場の戸籍住民課へ養子縁組届けを提出又は送付します。 4.養子縁組届が受理されれば法的な親子です。 ≪養子縁組の要件≫ 1.養親となる者は二十歳以上であること。 2.養親は養子より年上であること。 3.養子が未成年者の場合は家庭裁判所の許可を受けること。 ≪養子縁組に必要なもの≫ 1.養子縁組届け 2.届出人の身分証明書(運転免許証等)・印鑑 3.養子が未成年者の場合、家庭裁判所の許可書の謄本 4.養子及び養親の本籍地以外に届ける場合は、戸籍謄本【各1通】 ※札幌市の場合は費用はかかりません。 ≪養子縁組届け提出のとき≫ 養子縁組の届け出に関しては、書面上不備がなければ受理されるのが原則なのですが、年齢が近い等、場合によっては養子縁組の理由を詮索されることもあるようです。 ≪養子縁組後の諸届≫ 養子縁組は年下の方が養子となるわけですが、氏(姓)が変わりますので、運転免許証など様々な書類の名義変更手続きが発生します。 ≪相続開始≫ 仮に、養親が亡くなり、相続が開始した場合、養親の方に配偶者や実子がいなければ、すべて養子の方がすべて相続することになるわけですが、養親の方の親族から「養子縁組は偽装であり相続は無効だ」などと訴えを起こされた場合どうなるか、裁判例がなく、懸念されます。 また、養子の方が先に亡くなった場合も養親の親族との遺産分割上のトラブル(遺言でも同じことが言えますが)も懸念されます。 ≪同性婚制度≫ 離縁届を提出すれば、養子縁組を解消することはできますが、将来同性婚の制度ができた場合でも、現在の民法では養親・養子の関係にあった者は離縁しても婚姻することができないと規定しているため、婚姻できない可能性があります。 やはり、養子縁組に関しては慎重に検討すべきかと思われます。
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将来、お骨になっても同性パートナーと一緒のお墓で眠りたい・・・と、思っていらっしゃる方がおられると思います。 原則、お墓に埋葬できるのはお墓の名義人の「親族」であること。 民法上の親族とは・・・ ・配偶者 ・6親等内の血族 ・3親等内の姻続 札幌市のある民間霊園の関係者に相談してみました。 お二人が健在のうちに準備をしておけばお二人だけのお墓を建立できそうです。 ≪養子縁組≫ ・養子縁組をすれば、問題なく一緒のお墓に入ることができるでしょう。 ≪公正証書遺言≫ お互いがお互いを遺言執行者・祭祀承継者として指定する旨の公正証書遺言を作成すること。公正証書遺言書を作成しておき、どちらかが亡くなった後にお墓を建立します。 墓地使用権取得の契約の際、遺言書や亡くなったパートナーの意思が確認できれば、建立できるそうです。 (お墓を建立したご自身も亡くなった場合、そのお墓に入る意思を明確にしておくことが必要ですが) お寺の納骨堂も柔軟に対応してくれることろがあります。 ただし、養子縁組や公正証書遺言を残さずにパートナーが急逝した場合は、難しいようです。 |
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任意後見契約サポート
自治体の同性婚条例において「結婚に相当する証明書」を発行する前提となる、パートナー双方がそれぞれ契約する任意後見契約書を作成するサポートです。
成年後見制度とは、認知症、知的障害、精神障害のある方など判断能力が不十分な人の財産管理や身上監護を、代理権や同意権・取消権が付与された成年後見人等が行う仕組みとして、2000年4月1日からスタートした制度です。
成年後見制度には大きく二つあります。
1.家庭裁判所が成年後見人等を選任する「法定後見」
2.あらかじめ本人が任意後見人を選ぶ「任意後見」
「法定後見」には本人の判断能力の状態によって3類型があります。
1.「後見」・・・判断能力が欠いている状態が通常
2.「保佐」・・・判断能力が著しく不十分
3.「補助」・・・判断能力が不十分
「任意後見」は、本人の判断能力が十分なうちに、任意後見受任者と契約を結び、判断能力が不十分な状況になったときに備えるものです。
同性パートナーが認知症になり、法定後見の申立手続きをする場合、身近で世話をしているからといって、誰でもこの申立てをすることができるわけではありません。申立てをできる人が民法により決まっています。
本人、配偶者、四親等内の親族(親、祖父母、子、孫、兄弟、従兄弟、甥姪など)市区町村長、検察官などです。
まして、成年後見人に選任されるかは・・・なんとも言えません。
上記のようなこともあり、判断能力が十分であるときに「私の後見人はこの人」のように選任できる「任意後見」をおすすめします。
≪任意成年後見の手続きの流れ≫
1.任意後見の契約を公正証書で作成する。
2.将来、本人の判断能力が不十分になる。
3.任意後見受任者が家庭裁判所に任意後見監督人の選任の申立てを行う。
4.家庭裁判所が任意後見監督人を選任、登記する。
5.任意後見受任者が契約で定めた権限を後見人として行使できる。
まず、お互いがお互いの後見人になる契約をします。
契約の中身は、自分のかわりに財産を管理してもらう、自分のかわりに契約を締結してもらう等の法律行為経済行為にかぎります。
任意成年後見は将来同性パートナーの一方が認知症になってからの効力だけではありません。
契約を公正証書で作成した時点でお互いはお互いの任意後見受任者になります。
例えば、同性パートナーが緊急時に第三者から「ご関係は?ご家族の方ですか?」を聞かれたとき、
「任意後見受任者です。」と答えることができます。法的な立場を主張することができるのです。
≪必要書類と費用≫
・本人の戸籍謄本・住民票
・任意後見人になる方の住民票
・1件につき、公正証書作成手数料・登記費用
・任意後見代理権目録作成
・公証役場での手続同行